マーケティングオートメーション(以下: MA)は、顧客行動の収集・分析を通じて、適切なマーケティングを策定し、これらの施策を自動化することで、効率的に見込み顧客を育成し、商談成立に繋げるマーケティング活動です。
MAの機能はこれらの一連のプロセスにおいて大きな役割を果たします。MAの機能を正確に理解し、マーケティング活動を効果的に実施することで、購買や商談成立などの結果に繋がります。
以下では、MAの代表的な機能に関する説明や目的、活用事例を簡単に説明しています。
マーケティングオートメーションの全ての基礎となる「トラッキング」
トラッキングは、Webサイトを訪問した顧客の行動を追跡できる機能です。これによりWebサイトを訪問した顧客がどのようなページを表示し、どのような順番でページを閲覧しているのかなどを把握することができます。
例えば、お客様の関心領域や関心度合いを理解することが可能になるため、購入意欲の高い顧客へのアプローチに繋げることができます。
Webサイトにおけるお客様の行動を数値化する「スコアリング」
スコアリングとは、見込み顧客(リード)の属性や行動などに基づいて点数化する機能です。スコアリングにより、お客様が本当に関心のある領域や、優先的にアプローチすべき顧客を把握することができることから、営業効率を高める目的で活用されます。
例えば、メールを開封したら2点、URLをクリックしたら3点、特定の商品ページをみたら4点などのように、見込み顧客の行動履歴により点数付けし、一人ひとりのユーザーの総合点によって、顧客の商品に対する関心がより高まる情報を送信したり、優良顧客として営業に引き渡すことなどが考えられます。
トラッキングで得た情報をもとに適切な施策を練るための「アクセスログ分析」
アクセスログ分析は、トラッキングにより得た顧客の行動情報に基づき、今後顧客が購入に至るためにどのような施策が有効かを分析する機能です。
例えば、何度も訪問しているに関わらず、購入に至っていない顧客の場合は、購入意欲は高いものの何かの条件に迷っている可能性が高いので、その商品に関する初回割引クーポンを配信することで、顧客になってもらえる可能性もあるでしょう。
顧客の行動に対する取るべき施策を脚本化する「シナリオ作成(キャンペーン管理)」
シナリオとは、ある特定の顧客の動向に応じて行うべき施策を事前に定め、それらを自動化するために用いられます。
例えば、リピーターの顧客が少ないという課題がある場合、1回目に商品を購入してから、数日後に次回購入時に割引利用が可能なクーポンを配信するという施策が考えられます。
注意事項として、シナリオ運用数が10本、20本と増えてからは、運用管理が難しくなります。考えられる例としては、あるシナリオ該当者に対してメールが過剰配信となってしまうパターンがあります。
このような状況を切り抜けるためには、キャンペーン管理という機能を活用すると良いでしょう。例えば1日あたりや1週間あたりの最大配信数を設定することで、過剰配信を防ぐことができます。
Webサイトの訪問者に付加価値の高い体験を提供する「パーソナライゼーション」
見込み顧客の興味・関心の度合いに応じて、表示するコンテンツを変えることができる機能です。これにより、顧客に個人的でより付加価値の高い体験を提供することができます。
代表的な例として、レコメンデーションが挙げられます。顧客の購買履歴に基づき、対象とする顧客が購入した商品と同じものを購入した別の顧客が購入した商品を薦めたり、顧客が購入した商品に関連して購入される可能性の高い商品を薦める手法などがあります。
特定の行動を行った一定層のユーザーに対してメールを自動送信する「セグメントメール送信」
セグメントメール送信は、特定のアクションを行った顧客に対して、顧客の商品に対する関心がより高まる情報を送信する機能です。つまり、トラッキングによって得た顧客情報に基づき、スコアリングを行い、その点数によってシナリオに沿ったアクションを行うことの一例といえます。
例えば、商品説明に関する資料をダウンロードしたユーザーには特典の案内や製品使用に関する事例を送信するなどの施策が考えられます。
必要なページやフォームを自由に追加できる「Webサイト構築機能」
Webサイトを運営していると、新規顧客を集めるための特設ページであったり、新たに情報を追加したい場合などが出てきます。そのような時に役立つ機能です。問い合わせや資料請求フォームなどであれば、最初の顧客接点になる場合も多く、顧客を購買まで誘導できるかを左右する重要なページといえます。
例えば、初回割引キャンペーンの実施や期間限定で買い物を応援するための特設ページを設置する場合などが考えられます。
顧客流入チャネルを拡大・管理する「広告連動・広告管理」
広告連動・管理機能は、見込み顧客が広告に触れた媒体、回数、効果などを把握するための機能です。広告媒体を登録することで、広告出稿の効果を詳細に管理することができます。
また、オフラインのチャネルを連動・連携することができるツールもあり、イベントやセミナー、カタログ、実店舗などのチャネルからのデータも活用することで、オムニチャネルでマーケティング策を実施し、その効果を測定することもできます。
例えば、広告媒体を複数登録することで、媒体ごとの広告効果の違いや過去データとの比較も可能になります。
マーケティング活動全体の効果を最大化する「SFA・CRM連動」
CRM(Customer Relationship Management)は、顧客関係管理の略であり、顧客との関係を管理するマネジメント手法です。これをシステム化したものがCRMシステムです。
顧客との関係を維持するために、顧客情報や案件情報を一元的に管理することで、適切な情報提供を継続的に行い、顧客満足度を高める必要があります。
SFA(Sales Force Automation)は、営業支援システムの略であり、営業活動に関するデータを収集・蓄積し、これらの情報を可視化・共有することで、営業活動を標準化することが主な役割です。
CRMとSFAの違いは、顧客関係における段階的な違いと情報の方向性の違いが挙げられます。SFAは主にMAによってホットリードになった顧客の商談成立を担うフェーズにおいて役立つ一方で、CRMは商談成立後に顧客関係を維持・強化していく場面で役立ちます。また、SFAは営業に関する情報であることから社内であり、CRMは顧客に関する情報であることから社外になります。
このように、役割の異なるシステムを連携することで、より網羅的なマーケティング活動が可能になります。
まとめ
MAの主要な機能について理解頂けたでしょうか。Webサイトの大きな強みといえる顧客行動の追跡によるトラッキングを土台に、顧客を深く理解することで、施策の策定や自動化であったり、顧客体験の向上が可能になります。
また、MAの基本となるこのプロセスを更に進めるために、Webサイトの構築、広告などのチャネル活用、SFA/CRM連携などがあります。
MAの主要な機能を理解することで、効果的なマーケティング活動の実施に役立てて下さい。