ABM(アカウントベースドマーケティング)とは
ABM(Account Based Marketing/アカウントベースドマーケティング)とは、営業・マーケティングなどの組織機能を連携させ、あらかじめ決めておいたターゲット企業(アカウント企業)からの売上を最大化する戦略的マーケティング活動です。 Acquisition (新規獲得)、Acceleration(加速)、Expansion(拡大) のフェーズがあります。
Acquisitionは、顧客獲得のための活動です。デマンドジェネレーションの「リードジェネレーション」同様、広告、コンテンツ作成、電話など行いますが、数多くのリードを集めることよりも、顧客が「ターゲット企業であるかどうか」を重視します。そのためのKPIを設定します。Accelerationではターゲット企業内での顧客接点を増やし、Expansionではクロスセル・アップセルなどを目指して1企業からの利益額の最大化を目指します。
デマンドジェネレーションとは
デマンドジェネレーションとは、見込み客を獲得し、育成することで関心度を高め、関心が高まった状態で営業に見込み客情報を渡す活動を指します。マーケティングオートメーションが支援するのもこのデマンドジェネレーションで、見込み客獲得(リードジェネレーション)、見込み客育成(リードナーチャリング)、見込み客の絞込み(リードクォリフィケーション)のフェーズがあります。
顧客になりそうなリードを獲得し(リードジェネレーション)、その見込み客を育成し(リードナーチャリング)、十分に関心度が高まったリードを見分けて(リードクオリフィケーション)、営業へ渡します。
ABMとデマンドジェネレーションの違い
ABMとデマンドジェネレーションの違いとしては、活動の中で「見ていること」が異なります。
ABMでは、最初に「開拓したいターゲット企業」を決めますので、全ての活動は、「その企業を顧客化するために何をするか」という発想になります。
例えば、Webサイトにコンテンツを作る場合、ターゲット企業の課題解決コンテンツを作成したり、セミナーを開催する場合は、ターゲット企業が必要とするテーマを企画します。
そのため、「Webサイトのアクセスの多さや、セミナーへの参加企業の多さ」を追求しません。あくまでも「自社に最も大きな利益をもたらしてくれるターゲット企業」との新規取引&取引拡大を目指します。その意味で、ABMは「顧客中心」であり、誰を顧客としたいか、は、最初から決まっているのです。
デマンドジェネレーションは、リード志向です。新しいリードの獲得からはじまり、営業にホットリードを渡すまで関心度を高める活動をします。
マーケティングファネルでは、ステップを進むごとにリードが減っていきますので、ホットリードの数を増やそうとすると、最初の「リード獲得数」を増やしていく必要があり、ここを広げると成約率が下がるという矛盾と向き合うことになります。
このファネルの絵に支配されている以上、「数の最大化」→「対象が広がる」という構造から抜け出すのは、なかなか難しいことなのだと考えています。対象が広がると何が起きるでしょうか。作成するコンテンツや、メールの内容が一般的なものになり「リード数は増えたが成約率は下がった」となります。
これは、単に「成約率が下がった」という一つの事象ではなく、企業としての「提案力が下がっている」と認識する必要があります。
ABM | デマンドジェネレーション | |
---|---|---|
志向 | 顧客中心 | リード中心 |
態度 | プロアクティブ。ターゲット企業に合わせて施策を事前に設計し実行する。 | リアクティブ。反応したリードに対して電話するなど相手の行動があってから実行する。 |
担当 | マーケティングとセールスが一緒に活動 | マーケティング |
範囲 | 受注後もアップセル、クロスセルなど実施 | ホットリードを営業に渡すまで |
重視 | 質 | 量 |
また、ABMでは、営業とマーケティングが共に活動することも特徴です。営業担当者目線で考えると、「開拓したい企業を先に決め、施策を最適化する」というのは当然のことと言えます。ABMは、営業のためのマーケティングサポートという位置づけで捉えることもできます。