100ページほどページ数があるWebサイトで、1年間運用しているにも関わらずアクセス数は一日に3~5セッション。このWebサイトの、テクニカルSEOの問題を解決し、集客できるスタート地点へと改善しました。
サイト概要
固定ページでサービス紹介、会社概要、お客様の声、お問い合わせフォームがあり、その他に投稿ページでコラムがあるWordPress Webサイトです。このように、固定ページで製品・サービス紹介を作成し、頻繁に更新するコンテンツを投稿ページで行って行くのは、WordPressのとても一般的なの使い方です。
この記事を読まれている方へ
まず大前提として、100ページもあるWebサイトで、1日のアクセスが10以下でしたら、「何かがおかしい」と思いましょう。それは、アクセス解析が正しく入っていないのかもしれませんし、Webサイト全体が検索エンジンにインデックスされない設定になっているかもしれません。「記事を更新すればアクセス数が増える」というのは、SEO的に欠陥がないWebサイトの話です。そもそも、SEO的に欠陥があれば、Webサイト運用の努力が実りません。
テクニカルSEO監査とは
SEO的に、大きな問題がないかどうかをチェックするのが「SEO監査」です。こちらで、SEO会社であるMozが発表しているチェックリストを紹介しています。
ahrefs(エイチレフズ)のような総合SEOマネジメントツールでも、SEO監査機能はついています。ahrefsのSEO監査は無料で使えますので、ぜひインストールしておきましょう。
SEOの問題(1) - sitemap.xmlが送信されていない
sitemap.xmlというのは、検索エンジンに、Webページの存在や更新日を知らせるファイルです。Googleの場合、Googleサーチコンソールから登録できます。
sitemap.xmlファイルを作成する方法としては、WordPressサイトであれば、Yoast SEOや、All in one SEOというメジャーなSEOプラグインか、または、sitemap.xmlを書き出す専用のプラグインをインストールするだけです。
しかし、このWebサイトの場合、SEOのプラグインは入っていたのですが、バグがあり、sitemap.xmlが書き出せていませんでした。sitemap.xmlが書き出せているかどうかは、ドメインの後ろに/sitemap.xmlをつけてブラウザで表示してみましょう。
例) https://web-keiei.com/sitemap.xml
sitemap.xmlが書き出せないバグとは?
詳しいことは割愛しますが、こちらのエラーと同じ種類のエラーです。
sitemap.xmlが正しく表示されず、「 XML宣言はドキュメントの先頭でのみ許可されます」というエラーがでた場合、phpファイルのどこかに「空白行」があることが原因です。調査するのは、function.phpの他、オリジナルで作成したり編集したプラグインファイルです。
このWebサイトでもオリジナルのシステムが入っており、その中にあるphpの空白行を削除することでsitemap.xmlが書き出せるようになりました。
sitemap.xmlは必ず必要なのか?
sitemap.xmlは、100ページ程度のWebサイトであれば、無くても問題ありません。問題ありませんというのは、このsitemap.xmlは検索エンジンがページを発見することに役立ちますが、これがないからといって、「検索エンジンのロボットがクロールに来ない」というわけではありません。つまり、sitemap.xmlを送信していなかったからと言って、この100ページもあるWebサイトがGoogleに認識されなかった理由にはなりません。
ただし、このWebサイトの場合、次の2点の問題と重なることで、sitemap.xmlが送信できていなかったことは、マイナス要素でした。
SEOの問題(2) - カテゴリーがnoindexになっていた
Webサイトを構成するとき、
カテゴリー
┗ 記事1
┗ 記事2
┗ 記事3
のように、カテゴリーを複数作成し、その中に記事を入れる形を作ります。これがコラムやブログの場合、「カテゴリー」を検索エンジンに読み込ませるべきかどうか、というのは、SEOの戦略次第です。
一つの記事を複数のカテゴリーに入れる場合、カテゴリーには、「同じ記事が繰り返しでてくる」ことになります。同じような内容が複数ページにあることをGoogleは嫌います(重複コンテンツ)ので、カテゴリーをGoogleにインデックスさせるかどうかは、記事の運用方針と関係してきます。
また、このカテゴリーをWordPressの「アーカイブ」で作成するか、「タクソノミー」で作成するかによって、SEOプラグインの設定する場所が異なります。
このWebサイトの場合、カテゴリーは「検索エンジンに読み込ませない(noindex)」に指定されていました。カテゴリーがnoindexになっている場合、コラムTOPがあり、その下に全ての記事が並列に並んでいるような構成になります。
カテゴリーを作ることは「記事グループ」として、そのグループが何をテーマに扱っているのかGoogleに知らせることができるため、カテゴリーをSEO対策できる言葉で作成し、その中に記事を作成していくような「階層化」を行う方が良いでしょう。
とは言え、この場合も、sitemap.xmlと同様、「カテゴリーがnoindexであったこと」そのこと自体が「致命的な欠陥である」とも言えないわけです。
SEOの問題(3) - Aタグの中身が空であった
これまでのSEOの問題1、問題2は、この問題3と重なりあうことで、致命的な欠陥を引き起こしていました。Googleのクローラーは、Webサイト内のAタグを辿っていきます。しかし、Aタグの中身が空でした。
WordPressテーマとAタグの問題
通常、リンクを張る場合、
<a href=”リンク先URL”>アンカーテキスト</a>
のように書きます。
ところが、このaタグの領域を縦横指定することで、実際には、aタグの中身が空なのにリンクできるように見せることができます。
例えば、
アンカーテキスト
<a href=”リンク先URL”></a>
と書いても、aタグの領域と位置を指定することで、ユーザーは「アンカーテキスト」という文字をクリックできるようになります。
検索エンジン、特にGoogleにとってアンカーテキストというのは、非常に重要です。アンカーテキストの内容によって、どこからどこにリンクが張られていて、どういう文脈でリンクされているかを解析しているからです。
コラムのトップ、カテゴリーページの記事の書き出しが、全てこのようなaタグのマークアップであったため、GoogleがWebサイト内をクロールできなかったと考えました。
WordPressのテーマをビジュアルだけで選ぶ怖さを知りました。WordPressのテーマを選ぶときは、Astra themeのように軽快でSEOに強いと言われるテーマや、the sevenのように多くのユーザーが使っていて、すでに多くのバグ取りができているテーマを使うのが良いでしょう。
SEOの欠陥が改善され、ようやく「通常のWebサイト」としてスタートラインに立ちました。
SEOの問題を解決し、集客アップ
テクニカルSEOの欠陥を修正し、ようやく集客ステージの入り口に立ちました。行ったことは、
- sitemap.xmlの送信
- カテゴリーをindexに変更
- コラムのaタグ出力の変更
ちょうど、オレンジのグラフの立ち上がり部分でSEO問題(3)を解消したところです。Aタグの構造は非常に重要であると再認識しました。
ところで、テクニカルSEOの問題が、なぜここまで大きな被害に繋がったのでしょうか?1年間コツコツ記事を追加し、100ページ規模になってもほとんどアクセスがない状態。それは、内部リンクの不足と、被リンク不足です。
sitemap.xmlがなくても、カテゴリがnoindexでも、aタグの構造が悪くても、内部リンクでページの存在をGoogleに知らせたり、また、多くの人が参照してくれるコンテンツを生み出せていれば被リンクが増え、ここまで問題として長引かなかったのではないか、と考えています。
とはいえ、SEO的に欠陥があると努力が報われないことも事実ですので、努力の割に成果がでない企業様、お問い合わせください。Web施策優先度診断はこちら。