1900年代中頃、この不思議な作物の需要が高まりました。それは1900年から現代まで、フィリピンの最も重要な輸出作物の1つとなりました。ファッション、食べ物、通貨、建築においてさえ人気が高いことから、アバカの影響力の大きさが分かります。
アバカは貴重な経済的資産です。フィリピンは世界のアバカの87%を輸出しています。アバカは様々な形態で世界中を旅しているのです。フィリピンのファッションデザイナーのDita Sandico Ongはバナナとアバカの繊維で作った製作物をギリシャのアテネで美しく飾りました。人気のものは見たことがあるかもしれませんが、アバカはあなたの想像よりももっと多彩です。
アバカとは、フィリピンにある食べられないバナナの一種です。果実が熟す前に繊維用に収穫されるので、食べることはできません。フィリピンの中でもビコール地方はアバカの生産量がトップです。アバカ繊維はもともとロープを作る為に栽培されていましたが、徐々にティーバッグや紙幣などに使う特殊な紙の為に作られるようになっていきました。伝統的な形式では、ミンダナオ島のティボリ民族がティナラックを作る時のように作られます。工芸品としては、アバカは家具、ハンモック、小物やお土産を作る為に使われています。
伝染病の大流行によって、マスク、白衣、シューズカバー、へッドカバーや帽子などの個人用防護服を生産する際の原材料として、再びアバカの需要が高まっています。上の写真はアバカ繊維で作られたマスクの例の写真です。もしアバカ繊維が、ただ地上を巡るだけの運命だと思っているのなら、それは違います。デ・ラ・サール大学の学生が率いる団体が、気温の変化や宇宙放射線からの保護力の高いアバカ繊維を使った宇宙服を開発しています。オーガニックの繊維がこんなことまでできるなんて、驚きではありませんか?
世界はプラスチックのような人工繊維からオーガニックや生分解性の繊維に劇的に順応していっています。この世界のトレンドから、アバカ繊維は他の生分解性の繊維の中でも最も耐久性が強く支持を得ています。アバカ繊維から作られる特別な紙は、木質繊維から作られる紙と比べて、何度か再生利用ができるので廃棄物を減らしています。アバカの生産物そのものが省エネなのです。
特に多くのアバカを栽培することで、土壌の水の吸収性が向上します。丘のような高い場所で、土壌浸食を防ぐことができます。アバカを他の植物と育てることは、生態系の多様性を向上させ、土壌の早い回復を施す効果もあります。自然に、アバカの廃棄物を肥料として活用することもできます。ジョーダン・マドリード博士が率いるフィリピン原始力研究機関の科学と技術のチームの科学者は、アバカ繊維から作られる編まないフィルターを開発しました。これは、水に浮く汚れを排除してくれるのです。
気づいていないかもしれませんが、アバカは革命です。アバカは強く、安くそして環境的に効果的な代替品として産業の革命を起こしています。アバカは目的達成のために予算や環境を犠牲する必要がないことを教えてくれています。私たちはアバカを1つのツールとして世の中をよりよい場所にできるでしょう。