ビジネスで利益をあげるために必要なことは?さまざまな答えがあると思いますが、見込み客を集める活動、その方々に購入いただくための活動、そしてリピート顧客を増やす活動という3分類の中に収まります。
見込み客開拓のために、企業は特定の顧客セグメントにアプローチするマーケティング戦略を持つ必要があります。新規顧客を獲得した後は、さらに利益をあげるために、リピート顧客を維持・拡大しなければなりません。
しかし、日本のeコマース市場の競争激化とともに、新規顧客を獲得するコストは上昇しているので、私達が同じコストで獲得できる新規顧客の数は減少しているのです。そこで、リピート顧客を生み出すことについて考える必要性が高まっています。
ザルのような顧客開拓戦略?
もしリピート戦略に注意を向けないとしたら、それは、顧客をザルのような器に持っているようなものです。新規顧客は決してあなたのお店のロイヤルカスタマーの候補者として留まることなく、他店の新規顧客として流出していきます。これが、利益が増えない1つの原因になっているのです。自社のお店の離脱客は、どこかのお店の新規客なのです…。
オンラインショップはリピート戦略に目を向けにくい
そもそも、インターネット活用の利点として、従来の広告(TV、雑誌、新聞、ラジオなど)よりも高精度で顧客セグメントを行えるということがあります。特に、検索エンジン関連の広告は、正確な見込み客をしかも安価で集客することを可能にしました。
日本でインターネットビジネスが人気になりはじめた2000年頃からネットに参入した事業者の多くは「的確なターゲットに安価でアプローチできる」利点に着目してきました。一方、リピート戦略は、ハガキや手紙を送り、ロイヤルカスタマーに電話をしたり・・・と、従来のツール活用が含まれるため、とてもコストと手間がかかるように思われたのです。
そのような背景もあり、インターネット広告で新規集客を行うことに集中することが、利益をあげるために最もシンプルで効果的だと考えられました。
リピート戦略のための、デジタルテクノロジー
「高精度な顧客セグメントを、安価に行うことができる」ことを利点にネットビジネスに参入した多くの事業者にとって、従来のツールを使いたくないと思うことは、当然とも言えます。その流れの中に、リピート戦略に関する情報も含められてしまったのではないかと思います。
しかし、リピート顧客を生み出すための様々なデジタルツールが使える環境が整った近年、リピート戦略について考え直すタイミングです。
なぜリピート戦略が必要なのでしょうか?
80:20 パレートの法則
「20%のロイヤルカスタマーが、80%の利益を生み出す」というパレートの法則があります。 amazonのような超大規模なネットショップでもない限り、この法則が当てはまると思います。
どの事業者も、限られた時間と予算の中で、それらのリソースを新規顧客開拓とリピート顧客の維持拡大にどのように割り当てるかを考える必要があります。そして、リピート戦略に優先順位を与えない限り、ロイヤルカスタマーの数は増えることはありません。 長期的に高収益なビジネスを創ることを考えると、ロイヤルカスタマーをビジネス基盤として保持することは重要なことです。
リピート顧客は、お店からの提案を受け入れる
顧客エンゲージメントを得ること、企業へのブランドロイヤルティを育てることは、顧客と感情的な繋がりを持つことです。企業に対してポジティブな感情を持つ顧客は、よりあなたのお店から商品やサービスを購入します。
実際に私たちのクライアントのデータを見ると、「ロイヤルカスタマーは、新規顧客よりも金額にして15倍、商品を購入している」という事実があります。ロイヤルカスタマーはただ「多くのお金を使う人」ではありません、お店がが好きで、気に入っているのです。
新規顧客の集客コストは徐々に高騰していく
インターネット広告の費用対効果、例えば、PPC広告の重要なパフォーマンス指標の1つであるCPAは、上昇しつづけています。適切なCPAを維持するためには緻密に広告設定を調整する必要があり、多くの時間を必要とします。
私たちのクライアントのお一人で、ご自身でPPC広告を運営されている方がおっしゃっていました。「ネットショップを立ち上げた10年前は一週間にほんの数時間、調整していたけれど、今は一日の多くを費やしている…」
PPC広告は、広告がクリックされる度に広告主が広告費を支払うモデルです。検索エンジン広告は、PPC広告の一種で、オークション形式で検索結果などに表示されます。ですので、広告主が増えるほど、そのコストは高くなるシステムです。
リピート顧客創出のためのコストは、新しく開発されたデジタルツールのおかげで、安価に
伝統的なツールを使うことは好まなかったとしても、リピート顧客創出のためのデジタルツールが新たに開発されています。 例えば、LINE@は見込み客&既存客とリレーションシップを持つために人気のあるツールで、無料で始めることができます。LINEは、2011年以来、日本ではもっとも人気のあるSNSになり、2016年には7,100万人のユーザーを持っています。
また、顧客満足度調査を行いたい場合、個別に手紙を郵送する代わりに、Googleフォームを利用することができます。便利なデジタルツールについては、改めて他の記事でご紹介します。
リピート戦略は、企業の将来へ向かう見解やマインドを高める
この観点は、私がリピート戦略を持つ必要性について、最も重要だと考えていることです。ビジネスは、顧客の助けを得ながらビジョンを達成するために存在します。
ビジネスの外部環境が変わっていく中で、顧客に新しい価値を生み出し続けていくことが求められます。では、企業が持つべき未来へのアイデアを発見するのは誰でしょうか?
ひとつは、顧客です。そのビジネス領域について本当に好きな顧客は、企業よりも多くの知恵を持っています。彼らはとてもそのことが好きなので、新しい情報を得て、さらに楽しむことを学んでいきます。その間、企業の従業員は、ただ仕事をしているだけです。ですから、顧客はより顧客ニーズやインサイトについて高いスキルを持つようになります。
もし、リピート顧客を創出することの重要性を認識しないなら、顧客のそのような知恵を活かすことができなくなってしまいます。