オンライン工場見学を実施する際、「○○会社オンライン工場見学」というタイトルがすぐに思いつきます。しかしこれでは、「テーマ」がないため、参加する動機が漠然としてしまいます。幅広い動機を持った人を集めてしまうと、参加者の満足度を高めることが難しくなり、結果として「社会科見学」のような雰囲気になってしまいます。
オンライン工場見学実施時にはテーマを決め、「○○会社 オンライン工場見学 ~ テーマ名 ~」のように告知する必要があります。
社会科見学との違い
工場見学というと、子どもたちがお菓子メーカーや飛行場の裏側を見学するような「普段、見ることができない舞台裏を見る」という印象があります。もちろん社会科見学として地元の子供達をオンラインで受け入れる活動は良いことです。
しかし、商談につなげるためにオンライン工場見学を活用したいと考えたとき、社会科見学のように「この部品がどう作られているのか」といった舞台裏をただそのまま見せるわけではない、というところを区別する必要があります。
目的は「テーマに関する強みを見せ、視聴者に強い印象を残す」こと、です。
オンライン工場見学で見せる必要があるのは、御社の強み(特長、他社との違い、顧客が持つ課題を解決する力)です。そして視聴者に、その分野で強い印象を残すこと。これが見込み客向けにオンライン工場見学を行う目的です。
「強み」という言葉は漠然としていますが、コトラーは次のように述べています
1.顧客ベネフィットの知覚に大きく貢献し、競争優位の源となる
2.応用範囲が幅広く、多様な市場に通用する
3.競争相手が模倣しにくい
また、コア・コンピタンスが特殊な技術部門や生産部門の専門家領域として考えられるのに対して、「固有のケイパビリティ」についても競争優位の源泉としてあげられています。ケイパビリティと言うときは、技術だけではなく、もっと幅広く業務プロセスにおける優秀さを指す概念です。
中小企業の特徴の一つである「短納期」なども、ケイパビリティに含まれるでしょう。
上記のように考えても良いですし、わたしはシンプルに「顧客の課題を解決する力」と考えています。特にBtoB企業の場合、相手が法人である以上、その先にもまた顧客が存在します。みなさんの顧客である企業は、その企業の顧客のために「責任」(品質、納期、コストなど)を果たさないといけないのです。
その中で、多くの課題に直面しています。その課題を、御社の技術/サービスはどのように解決してあげられるでしょうか?「課題解決する力」に企業の特徴や強みがあると考えています。
強みを構成するもの
強みを表現するためには、「何が強みを作っているのか」を分解して考えることが助けになります。強みを構成する要素として、技術要因と、マネジメント要因を考えてみます。 例として、熱処理業M社の「熱処理を短納期で対応する」という強みについて考えてみましょう。
技術要因、マネジメント要因を分解していくと、オンライン工場見学で何を見せ、何を説明しないといけないかが、見えてきます。 上記のケースでは、
- 営業担当者が全員熱処理技能士であること、打ち合わせの段階から技術的課題にアドバイスを行えることで短納期が実現できること。
- 設備を見せながら、小型炉を複数設備することで短納期に対応していること。
- トレサビリティシステムを見せながら、全て一元管理されていることで、品質・納期管理を行っていること。
などを説明する必要があります。全ての情報が「短納期」というコンセプトのために組み立てられ、参加者に情報として提供されます。
このように、自社の強みを「強み足らしめている」ことを、プレゼンテーションすることが、見込み客向けオンライン工場見学の目的です。そのためには強みを技術要因とマネジメント要因に分解してみて、「何を伝えないといけないか」を棚卸ししてみましょう。
オンライン工場見学企画シートダウンロード
オンライン工場見学の企画シートは、強みを技術要素とマネジメント要素に分解し、実際の工場見学で何を見せるか検討することに役立ちます。
- 強みを言語化する
- 強みの要因を分解する
- それを実現している要素を言語化し、工場見学で何を見せるか検討する
- それらを一言で表すキャッチコピーにまとめる
このキャッチコピーを工場見学のテーマとして既存客または見込み客向けに提供すると良いでしょう。
オンライン工場見学への集客
自社のオンライン工場見学のテーマを決めたら、どのように参加者を募れば良いでしょうか。過去のつながりがある企業にメールで告知する、プレスリリースを活用する、自社Webサイトで告知するなどが考えられます。
ここで重要な役割を果たすのが自社Webサイトです。オンライン工場見学のテーマが決まりましたら、そのテーマに関するコンテンツを自社Webサイトの中に充実させます。
そのコンテンツからオンライン工場見学に参加申し込みできるようにします。Webサイトに情報を公開してもすぐに見込み客は集まりませんから、決まったテーマのオンライン工場見学を「3ヶ月に一度」など定期開催し、継続的にWebサイトから集客できると良いでしょう。