世界中をコロナが襲って以来、ビジネス環境、人の心境が大きく変化し、工場・事業者としてもその変化に対応し、できることならそれを「チャンス」に変えていきたいと、もがいてきたと思います。
コロナの「移動制限」問題は、「企業のリスク管理」と絡んでおり、今後も根強く残り、少なくとも一定割合の会議は「オンライン化」されるでしょう。では、「移動しない」という世間をチャンスに変えるためには、どうしたら良いのでしょうか?
オフラインが、実はオンライン化できてしまうと?
これまでオフラインで行っていたことを、オンライン化できれば、今までと同じことを継続できます。「オンラインでミーティングできます」「オンラインで工場視察に対応します」とできれば、これまで通り、会議も工場案内も提供できます。
このことは「既存の延長線」でしょうか?そうでもないと思うのです。
E-mailが登場する前、「郵送」しか手段がありませんでした。手紙とE-mailは、同じことを目的とした道具ではありますが、「E-mailは手紙より頻度が高められる」だけでコミュニケーションのあり方を大きく変えました。
Amazonはリアルの本屋をインターネット上にもってきたものではありません。リアルの本屋では新書がでるたびに、売れ残った本は返品され、新しい本が前に出されます。棚には制限がありますから。売れ筋であれば、棚の面積も広く取ります。リアル書店は「売れ筋の本」の売上構成比が高いわけです。
Amazonのビジネスモデルは「売れ筋の本」で成り立っているわけではありません。むしろ、リアルの書店では見つけることができなくなってしまった「以前の本」を、大量に品揃えることで売上を作っています。
製造業について考えてみると、製造業には「地域型」と「非地域型」があります。非地域型は、超ニッチな分野で圧倒的なシェアを誇ることで商圏を拡げることができ、日本全国、世界から仕事が舞い込む形のビジネスモデルです。
多くは「地域型」です。「量産品は海外へ流れ、試作は国内に残った」という話がでるときに、話の引き合いにでるのは、「試作は綿密な打ち合わせが必要だから」ですよね。オフラインでしかできないと思われていたことがあるから、「地域型ビジネス」は成り立ちます。
でももしかして、今までオフラインでしかできないと思いこんできたことが、オンラインでできてしまうかも?今、そういう局面だと思います。
Zoomなど安価なミーティングツールは以前よりありましたが、新しいもの好きしか使っていませんでした。コロナ禍で「Zoomでミーティングしませんか?」が普通に誰もが知っている言葉になった現在、最もインパクトのある疑問はコレだと私は考えています。
「密な打ち合わせ」って、本当に「距離的に近い」必要があるのでしょうか? この疑問とどう向き合うかで、地域型の中小製造業の未来はけっこう大きく変わるのではないかと考えています。
「オンライン工場見学」を営業ツールとして使う
工場視察で何を見せるべきか
オンライン工場見学・工場視察では、参加者が「知りたいこと」と、こちらが「見せたいこと」は異なります。自社の強みをしっかり棚卸し、「工場視察で何を見せるべきか」を最初に考えます。オンライン工場見学のテーマの見つけ方も参考にしてください。
リモートで工場を見せる時に使用するもの
使うのはZoomなどミーティングアプリと、スマートフォンです。スマートフォンには自撮り棒、手ブレ防止のスタビライザーなどもあると良いでしょう。詳しくは、「オンライン工場見学実施チェックリスト」もご覧ください。
オンライン工場視察の練習
単純なミーティングをオンラインで行うことは難しくはありませんが、工場内は会議室とは状況が異なります。
設備の立地によってはWiFiが入りにくいところがあるかもしれません、音がうるさくてお客さんと話ができないかもしれません。実際にスマートフォンを通じて工場を案内すると、どのような感じになるのか実験をして課題をピックアップします。
既存客へのアプローチ
まずは、既存客に向けてオンライン工場見学の案内をしましょう。
BowNow(バウナウ)やメールマガジン配信ソフトを使用して、これまでの名刺にメールを送ります。「オンラインで工場視察行います。●月●日…」これは、新規のお客様ではなく、既存のお客様です。なぜ、新規のお客様よりも既存客を先にアプローチするのか?
新規顧客開拓の労力と、既存客からの再注文を獲得する労力は、5:1、つまり、新規開拓の方が5倍大変と言われます。既存客の掘り起こしからはじめましょう。例えば、いつも機械加工品を発注してくれる発注者は、御社で樹脂加工もできると知っているでしょうか?意外とお客様は、御社のビジネスを隅々までは知っていないのです。
また、コロナ禍にあって、発注量が減少した発注者は、外注先を「絞る」必要性を感じているかもしれません。コミュニケーションを強化し、発注先候補としての「存在感」を高めましょう。
電話
メールを送っても、反応が悪いかもしれません。申し込みがない場合、「強化したい」発注者に電話をします。オンライン工場見学を企画しました、御社に加工の課題があればディスカッションしながら弊社設備を改めてご案内させていただきたいのですが、30分ほどですが、いかがでしょう?
ここで、オンラインの30分というのは、非常に強いです。全く動かなくて30分程度で情報収集できるなら、ちょっと試してみようという企業もあるでしょう。
既存客からの新規開拓
次に、既存客の整理をして、複数事業所を持っているところがあるかどうかを確認します。そして「1事業所とは取引があるけれど、他の事業所とは取引がない」先を見つけます。
そして取引のある事業所にお願いの電話をします。「オンライン工場見学を行うことにしたのですが、他の事業所さんにもぜひ見ていただきたいのですが、案内をお送りさせていただいても良いでしょうか?」これは、既存客からたどって繋がりを開拓するという活動です。
新規開拓
最後は完全な新規客開拓です。ちなみに、完全な新規客にアプローチすることを英語では「cold call」と言います。冷たいのです。それくらい、完全な新規客の開拓というのは簡単なことではありません。だからこそ「オンライン工場見学」を口実にできることは、話のネタとして新規開拓に貢献します。
新規客として開拓したい企業の条件をリストアップし、メール、FAX DM、テレアポなどを実施します。
企業のリストアップとしては、「イプロス」「NCネットワーク(エミダス工場検索)」「ジェグテック」などものづくり企業がデータベース化されていて、特定の条件で検索できる「ものづくりプラットフォーム」を利用するのが良いでしょう。
maツールであるBowNow(バウナウ)も、新規開拓先のリストを構築していくことに貢献します。ご相談ください。