コロナ禍で展示会がオンライン展示会になる中、自社主催のオンライン工場見学開催をトライされている方も多いでしょう。
弊社では、2020年8月より「工場視察LIVE」、スマホとZoomを使用したオンライン工場見学の実施サポートを行って来ました。
今回は、「オンライン工場見学は、従来の展示会出展の代わりになるか?」という疑問を、アペルザが行った調査より確認し、検討します。
展示会出展の目的は、大企業の場合はブランディング、中小企業の場合は新規顧客開拓が多い傾向にありますが、ここでは「新規顧客開拓のために展示会に参加する」ことを考えます。
株式会社アペルザが行った「製造業における展示会の参加実態 新型コロナの影響と今後の参加意向」(2020年6月実施)より、従来の展示会参加の目的、オンライン展示会への意見などを分析します。
展示会の認知・参加のきっかけとしてあてはまるものを教えてください(MA)
(SA…単一回答 MA…複数回答可)
オフラインの展示会の場合、多くの参加者が、ダイレクトメールの案内で来場しています。ダイレクトメールが来るということは、すでにその情報は展示会主催者か出展企業が持っていた、ということになります。
オンライン工場見学を自社で開催する場合、「新規客開拓を目的にすることの難しさ」が、想定できます。新規客の情報は、現在持っていないからです。
リアルの展示会の場合、出展社にとっては「新規顧客開拓」が目的であっても、来場者は展示会主催者にとっては「既存客」であるということです。
展示会は、毎年多額の広告費をかけて集客を行い、一度来場した参加者に繰り返し案内を送ることで展示会出展社に新規顧客として「送客」するビジネスモデルのためです。
展示会の参加目的としてあてはまるものを教えてください(MA)
「定期的な情報収集」が一番多いですが、展示会に行く前から、「特定の企業」に関心を持ち来訪する参加者も多くいます。
ただウィンドウショッピングのように情報収集しながら関心を持った企業に話を聞く、という行動だけではなく、最初から目的とする企業を持っているということです。ここの部分は、自社オンライン工場見学で代替可能でしょう。
展示会をきっかけに取引(購入・導入)に至ったことはありますか?(SA)
全体の7割以上が展示会を通じ、取引に至ったことがあると回答しています。
職種で見ると「経営」「研究・開発」「生産技術」層が新規取引のキッカケ作りとして展示会を活用していることが分かります。
展示会がオンライン開催となった場合、オンラインでも代替可能と考えているものがあれば教えてください (MA)
展示会がオンラインになっても、「セミナー」、「市場動向調査」など情報収集は代替可能との回答が多い。
一方、「出展企業に直接詳しい説明を聞く」、「具体的な商談」などコミュニケーションが必要なことについては、代替可能と考えている割合が低い。このコミュニケーション部分についても、オンライン工場見学という場は貢献できることがあるでしょう。
このように、オンラインとオフラインの得意・不得意分野を理解して、オンライン工場見学を企画することが求められます。
オンライン展示会とオンライン工場見学の違い
2つの言葉は似ていますが、全く異なるものを指しています。
これまで工場見学は、顧客とのリレーションシップを構築する、維持するために行われてきました。「自分達が望むものが、本当に形になるか」確認するためであったり、現場確認を行うことで工場の品質が高まり、結果的にコストが下がったりといった効果を狙って実施されていました。
展示会は、顧客開拓のために参加します。
つまり、展示会に関しては、オフライン展示会がオンライン展示会になっても目的は一緒ですが、工場見学の場合は、オフラインとオンラインで異なる場合があります。
このことを認識することは非常に重要です。目的が異なる場合は、「従来と同じことをオンライン化するだけでは十分でない」のです。見せる相手が異なるからです。
オンライン工場見学は、新規顧客開拓を目的とした場合は、「自社主催のオンライン展示会である」と考えた方が分かりやすいですね。オンライン工場見学実施後は、MAでフォローも忘れずに行いましょう。