外国の方に「ゴーイングコンサーン」と言ったらなかなかニュアンスが伝えられなかったので、英語で解説に挑戦しました。→ [ English ]

しかし、前提となる知識が異なる中で伝えるということは、とても難しいと実感しました。なぜ?と質問してもらえることは、それは、私(または日本人)の中で、常識として関連づいている情報だと明らかになります。例えば、「京都は第二次世界大戦で被害が少なかったので長寿企業が多い」や「着物の染技術を現在のニーズに変化させたから企業が継続している」なども、日本人が読むと「そうだね」と思いますが、そこには多くの共通知識があるのだということが分かり、外国人相手にはそこをきちんと説明しないと伝わらないという、とても良い経験になりました(^^)

日本的ゴーイングコンサーンとは?

ゴーイングコンサーンとは、会社が将来に渡って「事業を継続していく」という企業経営の前提のことを言います。特に上場企業の経営者にとっては会計監査を意識した考えであり、継続してくことが前提だからこそ広く投資者を募って資本を集めることができます。

英語で「going concern」と書くと、’儲け続ける企業’と同じようなニュアンスになりますが、日本で「ゴーイングコンサーン」と言うとき、意味あいは異なります。日本ではまず企業は「当然として存続すべきもの」という考えがあります。これは、日本には「配当する利益があっても留保・蓄積する方が良い経営」と思われてきた歴史的背景もあるようです。

ゴーイングコンサーンについて、わたし自身が感じること

昨年、京都の中小製造業の方々と話をしたときに、「まだ創業60年です、100年継続しないと一人前と言ってもらえない」とおっしゃっていたのがとても印象に残っています。京都は企業が「継続」を非常に意識している地域なのだなと感じました。実際に、日本は100年以上続く「老舗数」が世界でトップですが、都道府県別に見ると老舗排出率は京都が国内トップです。

彼らはどのようにゴーイング・コンサーンを実践しているのでしょうか?

ゴーイングコンサーン、企業は継続されるべきもの、というこの日本独特の経営への考えは、ともすると、同じビジネススタイルをずっと継続していくことと思われるかもしれません。しかし、同じ顧客を相手に、同じ商品を提供し、同じビジネススタイルを続けることは、正しいゴーイングコンサーンの捉え方ではありません。

京都の企業を見ると、ゴーイングコンサーンとは単なる継続を意味しないことが分かります。彼らは、継続するために、ビジネスを変化させているのです。

例えば、
・清水焼の焼成技術 → セラミック・コンデンサーへ発展
・着物友禅における染技術 → 半導体プリント技術へ発展
・仏具製造における金属装飾技術 → 金属真空蒸着へ発展
・酒造りにおける醸造技術 → バイオテクノロジー発展

同じビジネススタイルを継続していたら、多くの企業は倒産していたでしょう。京都に長寿企業が多いという理由は、事業の継続のためには、「事業を変えなくてはならない」という考えがあるのです。

しかし、「変化」にはリスクが伴いますから、経営者が新しい一歩を踏み出すことに恐怖が伴うこともあるでしょうが、恐怖を超えて変化できるのはなぜか?

それは「万一失敗しても大丈夫」という基本的な経営者自身への信頼感であり、その信頼感の一部を形成しているのが「その地にいるという誇り」- 何もなくなっても「私は京都人」という誇り -ではないと感じています。

その地域に住む人が地域を誇りに思うことは、地域が果たすべき一つの役割です。
そして企業も地域の助けあって会社経営ができると理解しているからこそ地域に貢献したいと思う。

ゴーイングコンサーン「継続のために変化する」を支える意識として、地域への「誇りと貢献」という気質が、企業を挑戦に向かわせているのではないか。
京都の中小製造業の方々と話して、ゴーイングコンサーンについてわたしが感じたことです。

[ English ]

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