前回、製造業ホームページ、探され方の違いを書きました。他業種と比較して、違いを明らかにすることで製造業をより理解していこうと思います。今回は、飲食店と製造業のWebサイトの「移動コストの違い」を考えてみます。
移動コストとは、文字通り移動にかかる費用のことで、交通費の他、人が移動する場合の人件費なども含んだ考えです。飲食店の場合、そこに行かないと食べられませんので、どれほど美味しいお店であっても、遠方であれば、簡単に行くことができません。製造業の場合、今は宅配便が発達していますので、距離が離れていても品物の受け渡しにかかる移動コストは大きくありません。
飲食店 | 製造業 | |
---|---|---|
商圏 | 地域密着 | 地域密着型もあるが、全国と取引する製造業も存在する |
移動コスト | 人が動くため、費用も時間もかかる | 宅配便程度 |
移動コストが与える影響 | 遠くまで食べに行けたらベストだけれど、近くのベターで決定する | 近場でニーズが満たされないのあれば、遠方であっても取引を行いたい |
移動コストが大きくない製造業では、商圏が広がります。商圏範囲がWebサイトの構成に関係することとしては、商圏が広いほど、ウェブサイトの訴求ポイントを狭く深くできるということです。
地域密着のビジネスの場合、市場を狭く取り過ぎるとお客さんがいなくなるという問題がありますが、商圏が広ければ訴求ポイントを「狭く深く」することで「より、そのことを求めている顧客に対する訴求力が高まる」ことになります。
「ターゲットを狭くするのは良いのですが、わが社では他にも力を入れている事業があります」という企業は多いですが、その場合は、「ターゲットに合わせてウェブサイトを複数持つ」ということが考えられます。
Webサイトを作ること自体は安価になっていますので、漠然としたウェブサイトを1つ持つよりも、複数のウェブサイトで的確なターゲットに向けた訴求を行う方が良いですね。(ただし、更新できないサイトを増産していくのは逆効果ですので、その企業にあった「やり方」を考える必要があります。)